北九州市の空き家管理 Estate Promotion Kitakyushu
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ロングインタビュー[2019.04]
   
 
   
  M氏: 空き家管理の大変さはなんとなく分ったけど、逆に空き家管理の良さってなに?  
   
  北島: 色々あるけど、まずはやってて楽しいこと。  
  うちの会社は福岡県全部をエリアに空き家の管理を行なってるんだよね。  
  これだけ広いエリアで空き家管理をやってる業者って全国的に見てもそう多くはない。  
  最初はできるだけ多くの実績を積みたいが為にそうしたんだけど、  
  県内でも行ったことない場所って結構あるでしょ?  
  特に不動産屋の営業エリアってかなり狭いから。  
  空き家管理やってるとそういうとこに毎月行くようになるから、  
  その地域の季節の移り変わりを肌で感じたり、  
  地元の人と触れ合ったりするのはかなり楽しい。  
   
  M氏: うん、それは楽しそう。  
   
  北島: 福岡県内でも地域によって方言って違うでしょ?  
  八女の方のおばちゃんなんて、ホントなに言ってるか分からない(笑)  
   
  M氏: あっ、また毒吐いた(笑)  
   
  北島: でも行くたびに「大変ねぇー」って声かけてくれたり、大根やタケノコをもらったり。  
   
  M氏: 愛されてるねぇ(笑)  
   
  北島: うん、空き家近くに住んでいる人から感謝されるのは、  
  顧客から感謝されるよりも嬉しいからね。  
  でも、全員が全員そんな人ばっかりじゃなくて、  
  挨拶しても無視するような人も普通にいる。  
   
  M氏: それはつらいね。  
   
  北島: 逆にそういう空き家こそきちんと管理して見返してやろうと頑張る。  
   
  M氏: なんて健気な(笑)  
   
  北島: 今、全国の自治体が空き家バンクって作ってるでしょ?  
   
  M氏: 田舎暮らしってテレビでもやってるね。  
   
  北島: 田舎の人は性格がいいって。  
  もちろん移住の理由はそれだけじゃないんだろうけど、  
  田舎の人みんなが性格いいわけじゃない。  
   
  M氏: 人によるってことか。  
   
  北島: そう。田舎の人をひとくくりにするのは、それは見方によっては差別的な発想。  
  プチ田舎暮らしをいろんな場所でやってる身としては、  
  憧れと現実は違うってことを声を大にして言いたいね。  
   
  M氏: そうかもね。  
   
  北島: それと、作業はこんなつなぎ着てやってるんだけど。  
   
  M氏: それ思った。なんか意味あるの?  
   
  北島: 意味ってほどじゃないけど、自分の決心みたいな、覚悟みたいな。  
   
  M氏: どういうこと?  
   
  北島: みんな、汚れる仕事とか汗かく仕事とか嫌いでしょ?  
  どうしてなのか考えてみたの。  
  みんな服が汚れるのが嫌なんだよね。  
  だったら、敢て汚い格好して汚れても気にならない服を着ようと。  
   
  M氏: それがつなぎ?  
   
  北島: そう。だって宇宙飛行士もF1レーサーも赤ちゃんも、  
  究極の仕事をする人はみんなつなぎでしょ?  
  世の中で一番作業しやすい服がつなぎなんだよ。  
   
  M氏: 赤ちゃんは仕事してないけどね(笑)  
   
  北島: 赤ちゃんはジタバタ動き回るのが仕事(笑)  
  でも汚い服って着た経験がないと分かんないと思うんだけど差別されるんだよね。  
  これ、目からうろこの発見。  
   
  M氏: そうなんだ。  
   
  北島: みんな自覚はないけど下に見ている。  
  学歴ないとか所得が低いってイメージを持ってる。  
  冷たく当たる隣人なんかもこれに当てはまるのかもしれない。  
   
  M氏: なるほど。  
   
  北島: だから不動産会社の社長だって分かるとみんなびっくりする(笑)  
  稀に不動産業の仕事の後でスーツ姿で空き家に立ち寄ったりすることがあるんだけど、  
  「あーら、北島さん、これから飲み会?」って言われたり(笑)  
  いやいや、こっちが本業だしって(笑)  
   
  M氏: 先入観って怖いね。  
   
  北島: ちょっと話がそれちゃったね。  
  あと、古いお家って今の新しいお家と違って、  
  大工さんとか建具屋さんとかが凝った仕事してることって多いのね。  
  分かりづらいところに手作業の細かい造作があったりとか。  
  昔の住宅って今よりも高価で簡単には手に入れられないものだったから、  
    職人さんってみんなプライドもってやってたんだよね。  
  それを発見するのが好き。「いい仕事してますねぇ〜。」って(笑)  
  新規契約の空き家に初めて入るときなんかワクワクが止まらない(笑)  
   
  M氏: もはや空き家オタク(笑)  
   
  北島: これは昔、住宅メーカーで営業やったことがあるのが影響しているのかもしれない。  
  それと、預かっている空き家って家財が残っていることがほとんどで、  
  仏壇の中に位牌があったり、遺影が飾られたままになっているものも多いんだよね。  
   
  M氏: このお家もそうだね。言わなかったけど実はちょっとギョッとした。  
   
  北島: それは普通の感覚だと思うよ。  
  でもそれに慣れてくると生前の暮らしていた時の様子なんかが想像できて、  
  なんとなくほっこりしたりする。  
   
  M氏: 他人の人生に触れるみたいな?  
   
  北島: そう。だから毎月通っていると遺影の人はもはや他人じゃなくなっていて、  
  遺影にも挨拶するし仏壇にも手を合わせる。  
  その人たちが見てると思ったら作業の手は抜けないよねー(笑)  
  空き家管理の仕事は楽じゃないけど、  
  倒れたり怪我したりしないのはその人たちが守ってくれてると本気で思ってるしね(笑)  
   
  M氏: もはや宗教家の域に達してる?(笑)  
   
  北島: 天神地下街なんかを歩くと、ごく稀にだけどすれ違う人が自分を見てギョッとしたりする(笑)  
  たぶん背中の上になんか見えてるんだねぇ(笑)  
   
  M氏: マジか!  
   
  北島: 信じるか信じないかはあなた次第です(笑)  
       
  M氏: なんだ。冗談かよ(笑)  
   
 
     
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